自律訓練法上級練習の具体的な訓練方法や実施の際のコツ、効果、催眠導入、自己催眠法、自己分析等。
・自律訓練法の効果、準備、標準練習、コツ
・自律訓練法上級練習 - 黙想練習(自律性黙想法)
・自律訓練法上級練習 - 特殊練習(自律性修正法(特定器官公式、意思訓練公式))
・自律訓練法上級練習 - 自律性中和法(自律性除反応、自律性言語化)、空間感覚練習、睡眠導入公式、身体感覚への気づきの練習
・自律訓練法掲示板スレのまとめ
自律性中和法は、エネルギーの蓄積、強度のストレス、衝動、欲望の継続的抑制によって生体本来の自然治癒力が機能しなくなり、心理的、生理的混乱を引き起こしている脳、神経系を、エネルギーの自律性解放、自律性放電を行うことで、機能正常化をはかり、心身症状を改善させる技法です。
自律性除反応は、自律性解放を自律状態下で、より積極的に進める技法です。
自律性言語化は、自律訓練法の練習で得られた、患者の心身症状と関連した問題点、例えば攻撃、不安、願望などの内容に焦点を当て、自律状態下で集中的に言語化していく技法です。
・標準練習を十分習得してから行います。また、ヒステリー性の反応を示す人は注意を要します。
・誰にも聞かれない状態で行います。誰かに聞かれるという心配が、描写の抑制を引き起こすからです。
・自律性除反応は、週1〜2回のペースで行います。自律性言語化は、特定のテーマについてより集中的に中和処理を行うことが目的であるため、必要な時に挿入的に用います。
1回の練習時間は通常60〜90分、90分を超えることもあります。
・必ず仰臥姿勢で行います。
・まず標準練習を行なって変性状態に入り、感じること、考えること、頭に浮かんだことを声に出して言葉で描写し続けます。
・訓練中は、言葉で描写した自律性解放の内容を初めから終わりまで録音します。
・他の自律訓練法では、受動的注意集中が重要なのに対し、自律性除反応では、受動的受容が重要になります。受動的受容とは、自律状態下で生じる様々な反応、自律性解放を意識的に強めたり、取り除こうとしたりせず、生じるままに受け入れる心的態度、傍観者的態度のことです。
・自律性除反応では、いつどのようなテーマで自律性解放が始まり、終わるのか事前に予測できません。自律性解放を無理に促進または中断させようとすると、不快感、痛み、不安などの心身症状を引き起こすことがあります。したがって自律性除反応を行う時には、一切の妨害を止めなければなりません。また、脳が空っぽになった、もう何も言うことがなくなったと感じるまで訓練を終わらせてはいけません。これを無妨害原理といいます。
・訓練終了後は録音を再生し、その内容を聞き、さらに紙に書き写し、それを声を出して読みます。
空間感覚練習には、脳の右半球機能や、大脳両半球の統合、調整機能を促進する効果があります。
1、「目と目の間の空間を想像する」
2、「耳と耳の間の空間を想像する」
3、「肩と肩の間の空間を想像する」
4、「肘と肘の間の空間を想像する」
5、「手首と手首の間の空間を想像する」
6、「手のひらと手のひらの間の空間を想像する」
7、「指と指の間の空間を想像する」
8、「膝と膝の間の空間を想像する」
9、「踵と踵の間の空間を想像する」
10、「土踏まずと土踏まずの間の空間を想像する」
11、「つま先とつま先の間の空間を想像する」
12、「右脚と左脚の間の空間を想像する」
1、「右(左)腕が空間で満たされている」
2、「左(右)腕が空間で満たされている」
3、「両腕が空間で満たされている」
4、「右(左)脚が空間で満たされている」
5、「左(右)脚が空間で満たされている」
6、「両脚が空間で満たされている」
7、「両腕と両脚が空間で満たされている」
・仰臥姿勢または椅子姿勢で行ないます。
・12公式をセットにして行ないます。各公式に10〜15秒間かけます。
・身体部位の距離を想像するのではなく、部位間に受動的注意集中を行ない、対象のない空間を感じ取るようにします。
・第1空間感覚練習の第7公式では、片手の5本の指の間の空間を想像するのではなく、左右両手間の指の空間を想像します。
睡眠導入公式は、自然に繰り返される呼吸運動に注意を向けることで、受動的注意集中を促進し、催眠導入を行なう公式です。
呼吸に合わせて起こる腹部の膨らみ、へこみに合わせて、以下の公式を繰り返します。
・公式を繰り返すペースに合わせて呼吸をするのではなく、呼吸に合わせて公式を繰り返します。
・就寝時に標準練習に続けて行ないます。消去動作を行なわず、眠りに就くまで公式を繰り返します。
身体や感情に対して、外界にばかり注意を向けているために、ほとんど注意が向かず、心身の変化に自覚的に気づきにくい人や、過度に注意を向け、心身の些細な変化を増幅して捉えてしまう人がいます。
前者のタイプでは、標準練習のみでは心身の変化に気づきにくいため、感情や身体感覚への気づきを、体験的に経験させる技法が必要となります。そのための技法が、身体感覚への気づきの練習です。
対人場面における身体感覚への気づきの練習では、対人場面での身体面の緊張を観察、コントロールすることで、緊張、ストレスを軽減することができます。例えば、対人場面において、緊張して手に汗をかいた場合、これをコントロールすることはできませんが、自分でコントロールできる身体部位で緊張に気づき、これを自律訓練法によってコントロールすれば、その緊張を軽減させることができます。
・標準練習の重温感訓練の後に行ないます。
・2人1組で向かい合った椅子に座り、もしくは向かい合わせで立って行ないます。
・ストレス場面、葛藤状況を含むテーマ、内容で会話を行ない、それらの役割を体験しながら、その間の身体感覚に注意を向けます。会話のテーマは、状況を設定したものでは、「断り」「門限」「責任」「賞賛」「言い換え」など、人物を設定したものでは、「親と子」「上司と部下」「教師と生徒」「治療者と患者」などのテーマで行ないます。
・例えばテーマが「断り」の場合、断る役の人は、何度誘われても断り、誘う役の人は何度断られても誘い続けます。誘い方、断り方は単調にならないようにします。この間、身体のどこがどのように変化、緊張しているかを観察します。1セッションだいたい2〜3分で訓練します。
・訓練後は、訓練中の身体の変化についてお互いに話し合います。
・不快なイメージを想起し、不安が増大したところで自律訓練法を行ない、不快なイメージの想起、予期不安からくる不安、緊張を軽減させます。
・訓練者は自分の作るイメージが自分の症状、不安、緊張と関連していることを知り、さらにそれらが自律訓練法によって軽減させられることを体験的に知ることができます。つまり、心と体の関係に気づく訓練と言えます。
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